波長350nm以下を実現したDOWAのUV LED(深紫外LED) サイトマップ

search

03-6847-1253

平日:9:00~17:25 ※土日祝除く

phonelink_ring

 
HOME > メディア > japanese > 殺菌用途のLED、波長は何がいい?

紫外LED使用お役立ちコラム, 殺菌, 不活化, sterilization, disinfection, purification | DOWAのUV LED(深紫外LED)技術サイト

殺菌用途のLED、波長は何がいい?

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
殺菌用途のLED、波長は何がいい?
みなさんこんにちは。
紫外LEDの使いこなしお役立ちコラム、第1回目は【紫外LED (UV LED)で殺菌する場合、どの波長を選ぶべきなのか】について考えたいと思います。
一般的に、殺菌ランプ(水銀ランプの一種)のと同じ波長である254nm が最も殺菌に効果があると考えがちですが、本当のところはどうなのか?
これから、一般的な理論的根拠に加え最新の学術論文に基づく考察も交えて少し突っ込んで考えていきましょう。

目次

1. そもそも殺菌とは?
2. 不活化を紫外LED(UV-LED)で行う場合どの波長が最も有効なのでしょうか?
3. まとめ
4. DOWAの取り組み

1. そもそも殺菌とは?

  人間に有害な細菌などの微生物の害を軽減する事を、殺菌、滅菌、除菌などと様々に表現しますが、どのように区別しているのでしょうか?
一般的には下記のような使い分けがされているようです。
①殺菌:有害な細菌、ウイルスなどの微生物を死滅させる事。
②滅菌:増殖性を持つあらゆる微生物(主に細菌類)を完全に殺滅又は除去する事。
③除菌:菌を除いて減らす事。
④消毒:手段や対象を特定せず、結果として無害化する事。菌などの微生物とは無関係な場合もある。
従って、④は少し視点が異なりますが、残り3項目は”菌をどの程度減らすか”という観点から、
滅菌 ⇒ 殺菌⇒除菌という序列になりそうです。
一番厳しい滅菌は、数値として細菌の数を10-6(1/100万)まで減らすことが求められています。
また、抗菌と言う表現もありますが、意味合いとしては除菌より更に軽く、菌が増えないという意味です。
ちなみに、英語では、disinfection(消毒)、sterilization(滅菌)、特に飲み水の場合はpurification(浄化)
が一般的で、くだけた表現としてはantibacteria(抗菌)などの表現もあります。
パスチュアライズド牛乳でおなじみの、パスチュアライズ(pasteurization)は低温殺菌を意味し、フランスの細菌学者であるパストゥール (Louis Pasteur)に由来します。
 ◇◇話が少し脱線しました◇◇
色々な表現はありますが、ここでは人間に有害な菌類を除去する事を「殺菌」と総称する事にします。
殺菌の手段というと、一番馴染み深いのが塩素によるもので、水道水、プール、家庭用漂白剤、パイプクリーナー等幅広く使用されています。
一方、紫外線による殺菌は菌を殺すというメカニズムとは少し違い、菌がDNAを複製して増殖するのを阻害して、世代交代を抑え、紫外線を照射された第一世代の寿命が尽きると次世代がいないため、時間を経て最終的に菌の数を減少させることを狙っています。
このようにDNAの複製を阻害する事で増殖を防ぐことをを不活(性)化 (inactivation)と呼びます。

2. 不活化を紫外LED(UV-LED)で行う場合どの波長が最も有効なのでしょうか?

 [これまでの一般的な考え方]
  ・DNAに損傷を与えるというメカニズムであるため、DNAを構成する4種の塩基(base pair)、アデニンadenine, A)、チミン (thymine, T)、グアニン (guanine, G)、シトシン (cytosine, C)のそれぞれ吸収のピーク波長がある260nm, 267nm, 253nm, 271nmであるため、その単純平均である263nm付近の波長が不活化に最も有効であると想定されていました。 
 
 [最新の研究論文] 
          *東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻の小熊久美子准教授のご厚意により、先生が2017年11月にWater Research紙に投稿された論文より一部内容を転載させていただきます。
    ・一般的な指標菌として①大腸菌(E. coli)、②ファージ菌(Qβファージ)、欧州で指標菌として使用される③枯草菌芽胞(Bacillus subtilis spores,)、そして人間にとって有害な細菌である④緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa,)、⑤ レジオネラ菌(Legionella pneumophila)の5種類について、265nm, 280nm, 300nmの紫外LED(UV LED)と従来の殺菌ランプ(UV Lamp, Mercury Lamp)の254nmの4波長で殺菌(不活化)効果を確認し、結果を”不活化速度定数”という切り口で整理・比較したところ興味深い発見があります。
それぞれの菌の不活化速度定数の高い順で並べると、
①大腸菌 :254nm = 265nm > 280nm > 300nm
②ファージ菌 :265nm > 254nm > 280nm > 300nm
③枯草菌芽報胞:265nm > 254nm = 280nm >300nm
④緑膿菌 :265nm > 280nm > 265nm > 300nm
⑤レジネラ菌 :265nm > 254nm > 280nm . 300nm
という結果になった。
参照論文はこちら

と報告されており、要約すると、
1.想定どおり265nmが最も不活化効果が高い
2.従来の殺菌ランプの254nmも安定した不活化能力を示すが265nmには及ばず、菌によっては280nmにも劣る場合もあり、わざわざLEDで254nmの製品を作る必要はなさそう。
3.300nmは全ての菌において最下位であり、不活化のための選択肢としては厳しい。
>>> さらに、一歩進めて、
上記の実験は各波長の紫外線出力を同じに揃えて(1mW/cm2)実験しているが、その紫外線出力を得るために必要な電力、言い換えれば省エネ度という観点で、WPE(Wall Plug Efficiency, mW/ VA)とう指標で最新のLEDを見てみると、254nm (殺菌ランプ)20% > 300nm 1.9% >280nm 1.9% >265nm 1.4%
となります。
この波長とWPEの関係から見た省エネ率と先程の不活化速度からみた不活化能力を総合して、波長ごとの省エネ殺菌能力を考えてみると序列は下記のとおりとなります。 
1番:254nm (殺菌ランプ)
    コメント ▸ WPEの高さがダントツ、しかし水銀条約による将来の入手難、破損・破棄時の水銀飛散
          短寿命などのデメリット、リスク大きい。
          (殺菌ランプで265nmがあれば最高ですが放電管という原理上、発光波長が185nm,
           254nm, 365nmなどに限られ、LEDのように波長の調整はできないのです)
2番:280nm(LED)
           コメント  ▸WPEで265nmとの差が25%あるため不活化速度定数の差を逆転した。
             ▸DOWAのDoUVLEDには同じWPEでより不可化効率の275nmもラインナップされて
          おり、これがLEDでは1番となると思われる。
3番:265nm(LED)
    コメント ▸ 紫外LEDは波長が短くなると出力等の性能を上げるが難しくなり、
          不活化能力は高いが総合力で275nm, 280nmに劣る。
4番:なし
      コメント ▸ 300nmは殺菌には効果薄く選択肢としては厳しい。

3. まとめ

  紫外LEDを殺菌に使用する場合、275nm(280nm)が省エネを考慮すると最適な波長であることが分かりました。
しかし、殺菌ランプの代替と考えた場合、LEDと殺菌ランプとの効率の差は依然として大きいので、今後更なる効率の改善が望まれます。
  一方、LEDの特徴である小型、長寿命、低駆動電圧等の特性は発電電圧の低い太陽電池との組み合わせも可能となり、今までにない新しい殺菌用途を実現させるドライビングフォースとなり得ると思われます。

4. DOWAの取り組み

様々な市場要求に対して、DOWAの紫外LED "DoUVLEDs" は今後、高効率化による出力向上を全力で押し進め、優れた新製品を送りだし、新しい使い方を提案していきますので是非ご期待下さい。
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Copyright © 2018 DOWA Electronics Materials Co., Ltd. All Rights Reserved.