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皮膚治療向け光源としての紫外LEDの状況と今後

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皮膚治療向け光源としての紫外LEDの状況と今後
みなさんこんにちは。
紫外LEDの使いこなしお役立ちコラムの第2回目は【紫外LED (UV LED)の皮膚治療への適用】についてお話ししたいと思います。
紫外線を使用した皮膚治療は、乾癬 (psoriasis)、白斑 (vitiligo)などを対象としたUV-B ナローバンド(narrow band )光源 (フィリップス製のUVランプが標準で使用されています)によって現在既に一般的にに行われています。
今後、紫外LEDを治療用光源として検討する場合のLEDのメリットや特徴を、治療の原理なども交えながら、これから考察していきましょう。

目次

1. 紫外線皮膚治療の光源波長と治療方法の推移
2. ナローバンド (narrow band)とは?
3. ナローバンド光源、三択の時代到来
4. 紫外線皮膚治療の対象と効果
5. まとめ
6. DOWAの取り組み

1. 紫外線皮膚治療の光源波長と治療方法の推移

  まず、紫外線を用いた皮膚治療の変遷を時系列で簡単に見てみましょう。
 ・1970年代       PUVA療法 (ソラレン (psoralen)と言う薬品と外用、内服と併用してUVAの照射を行う方法
 ・1990年代       ブロードバンド(280nm ~ 340nm)UVBを患部に照射する治療法
 ・1990 ~ 2000年代  ナローバンドUVB(309~313nm)を患部に照射する治療法
 ・2008年~      308nmエキシマライトを使用した小型のターゲット型治療器で患部を正確に照射する治療法
  これまでの、経緯では治療行為の簡略化(ソラレン不使用化)、安全性の向上(皮膚に負担をかける波長フィルタリング=狭波長帯化)、利便性の向上(小型化)を達成しつつ現在に至っています。今後も患者さんのQOL(Qualoty Of Life)の向上のための利便性向上、保険治療としての経済性追及の要望も出て来ると思われます。また、ナローバンドランプは水銀灯の一種であるため、水銀不使用の社会的趨勢による供給不安もあります。
また、311nmナローバンド治療の標準波長とされた理由は、最少紅斑量(minimum erythematous dose: MED) から見た最適波長である313nm付近に水銀灯固有の輝線である311nmが存在したためですが、LEDの場合は波長は任意に設定できるため、311nmに代わる新しい最適波長が臨床試験などを通じて発見される可能性もあります。

2. ナローバンド (narrow band)とは?

  文字通り”狭い波長領域”の意味で、具体的には311nm、308nm~313nmの範囲を指します。
中心波長が311nmである理由は、先にも説明したとおりですが、この波長が最小出力で最大の治療効果が見込めるため、他の波長(特に300nm以下の波長は皮膚癌などのリスクあり)をフィルタリングして安全なナローバンド光源として商品化されました。
また、従来の光線治療(ブロードバンド/ broad band)の保険点数150点であるのに対し、ナローバンドは治療効果と安全性を高めた高度治療という位置づけになり保険点数は2倍以上の340点となっています。従って、現在は医療機関の収益性の観点から多くの場合ナローバンド治療が選択されています。
 

3. ナローバンド光源、三択の時代到来

  311nmは上記のとおり、水銀ランプを改良したナローバンドランプがオリジナル光源ですが、現在は308nmの波長を持つエキシマライト(excimer lamp)が狭い範囲の患部であれば、高出力で照射する事で治療時間の短縮化が可能であるため、シェアを伸ばしてきていいます。なお、エキシマライトの波長308nmも材料に起因するもので任意には変更できません。このエキシマライトを保険治療とするため、波長の要件が311nmを中心に対称に±2nmの対象ではなく311+2,-3nmと非対象になった経緯があります)
DOWAの紫外LED (DoUVLEDs)の場合は波長調整することによりナローバンドランプ(311nm)、エキシマライト(313nm,)の両方の波長に対応可能でどちらの置き換え需要にも対応可能です。
  また、紫外線治療における紫外線照射量は精密に制御する必要がありあますが、LEDの場合は通電電流値を変化させることにより、LEDの発光出力を自由に変更できるので非常に正確な照射量の制御が可能となります。
一方出力の面から考察すると、現在リファレンスと言えるフィリップス製ナローバンドランプの発光効率(WEP = Wall Plug Efficiency)は12% (9Wランプ) ~ 28% (36Wランプ)でりますが、配光特性が360°照射であるため、LEDと同じ120°とすると出力は1/3になりWPEは4%~9%と計算されます。 一LEDは現在のところWEP は2%に程度なのでまだランプとの差は大きいですが、今後WPEは近々5%程度までに改善し、紫外線治療に一層使いやすくなることが予想されます。

4. 紫外線皮膚治療の対象と効果

  [皮膚病と紫外線療法 (UV radiation therapy) の機序(mechanism)]
   ここでは典型例として白斑と乾癬について述べますが、複数のメカニズムが同時に作用して治療効果を生んでおり、学術レベルではまだ未解明なところも多く日々研究が続けられています。
 1. 尋常性白斑 (vitiligo vulgaris)
   皮膚の色素を構成するメラニンを生成するメラノサイト (melanocytes) が自己の免疫機能により攻撃を受け死滅することにより、皮膚の色素を生成できない病気。
    *治療効果 ⇒紫外線を照射する事により以下の現象が同時に起こることで、病状が改善される。
       ①破壊されたメラノサイトの周辺にはメラノサイトの芽細胞が存在し、UVBはこれを活性化させメラニン (melanin) に変性させる
       ②UVBはサイトカイン (cytokine) の分泌させそれがメラニンの増殖を助ける
       ③メラノサイトのを攻撃を主導したT細胞 (T cell) がUVBを照射されるとアトポーシス (apoptosis) と呼ばれる自棄に誘導され除かれる
 2. 尋常性乾癬 (psoriasis vulgaris)
皮膚の表皮の形成速度が通常の10倍以上の速度で進行し、どんどん表皮が増殖し角化の亢進 (hyperkeratosis) が進行する。
    *治療硬化 ⇒紫外線を照射する事により上記同様T細胞のアポトーシスへの誘導により病状が改善される。
 3. 同様のメカニズムにより、アトピー性皮膚炎 (Atopic dermatitis) 、菌状息肉症 (fungoid mycosis) 、結節性痒疹 (nodular prurigo) 、掌蹠膿疱症(pustulosis palmoplantaris)、皮膚掻痒症 (cutaneous pruritus) などにも有効とされています。
       

5. まとめ

  紫外LEDをナローバンド治療用の光源として考えると、目下紫外LEDの出力向上が進み照射範囲の狭いターゲット型治療器向けについてはエキシマライトの代替として、徐々に置換が進行中である。LEDの更なる性能向上が進めばより大型の蛍光灯型のナローバンドランプの置換も進行するものと期待されます。
また、LEDの波長を任意に設定できる特徴を生かし、従来にはない波長の治療効果の研究も行われており、皮膚治療用光源としてのLEDへの期待はますます高まっています。

6. DOWAの取り組み

  皮膚治療用光源として、ナローバンドランプの代替として311nm、エキシマライトの代替として308nmをラインナップし、両方の需要に対応しつつ性能向上に努め、コンパクトで長寿命というLEDの特徴に磨きをかけより付加価値を高めてまいります。
  また、特殊波長へのご要求にも対応し新しい医療用への展開もバックアップしてまいります。
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